電子エネルギー損失分光装置（EELS）は、エネルギー分散型X線分析（EDS）とは異なる、TEM（透過型電子顕微鏡）に搭載される元素分析用の付加装置です。高エネルギー電子ビームと試料の相互作用によって得られるEELSのエネルギー分解能は1 eV以下に達し、低原子番号元素の定量精度に優れるだけでなく、原子間の結合状態や電子的性質などの情報も取得可能です。
iSTのサービス
TEMに搭載されるEELS（Electron Energy Loss Spectroscope）は、高い空間分解能とエネルギー分解能を兼ね備え、軽元素に対する高い感度を持ちます。得られたスペクトルから元素の種類、原子価状態、結合状態の分布を解析でき、EDSと相補的に機能することで、より精密な元素・化学情報を提供します。半導体、ナノ材料、エネルギー分野における先端材料解析において、重要な分析ツールです。
iSTの強み
事例紹介
シリコン（Si）は様々な化学結合状態で存在し、EELSスペクトルの特性端や微細構造の差異から判別可能です。
DualEELS技術により、低損失領域とコア損失領域の信号を同時に取得でき、原子価状態解析、背景除去、多元素解析の効率が向上します。
EDSでは元素の組成情報のみ得られますが、EELSを用いることでCuのL₃およびL₂端の強度比を解析し、銅の酸化状態や局所構造を明らかにすることが可能です。
EFTEM（エネルギー選別透過電子顕微鏡）は、エネルギーフィルターを用いて特定のエネルギー損失電子を選択し、材料内部の異なる層における組成変化を可視化します。
- 半導体産業
- LED産業
- 光電子産業
- MEMS（微小電気機械システム）産業
- エネルギー材料産業
- 半導体：ICプロセス、先端パッケージング
- エネルギー材料産業：リチウムイオン電池
- 金属・合金：銅、鉄、アルミニウム、ニッケル、高エントロピー合金など
- セラミックス：ITO、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、SiC、WCなど
- 薄膜：結晶性を持つコーティング膜
Gatan GIF Model 1065 Continuum ER
| Spectral rate, max. (sps) | 8000 |
| Sensor size (pixel x pixel) | 2048 x 2048 |
| Energy resolution | <1.0 eV |
| Energy range (eV) | 3000 |